現在の法条がやってみたいキャスト筆頭です。

“茨(ローゼス・ソーン)”ローレンス・マクベイン 25歳
マネキン●,エグゼク,トーキー◎

『なんだってそうだ、オレがそんなこと望んでいたわけじゃないのに!』
 “薔薇のつぼみ”と称されたメディアの女王クラウディア・マクベイン*1には実は息子がいる。それが彼、ローレンス・マクベインである。だが、メディアに露出することで自らの名声を得、それを武器としたメディアに女王に出産をしたという履歴はない。第一、売れっ子として仕事に生活のすべてをかけてきたクラウディアにそんな時間などあるはずもない。しかし、彼はまぎれもなくクラウディアの実子なのだ。
 メディアの女王が何を意図したのかはわからない。だが、クラウディアは自らの卵子体外受精させ、さらに人の胎内を経ずして子供を産み出した。精子提供者が誰であったのかはわからない。だが、遺伝的に彼がクラウディアの息子であることは公式に表明されている。

 そしてメディアの女王の息子として生を受けた彼は幼少より英才教育を受け、能力的には優秀な青年へと成長した。“薔薇のつぼみ”にあった端整な、そして女性的ですらある容貌も受け継いだ彼は大学卒業後、母が支配するヘルメス・ネットワークへ入社することになる。対外的にはこれ以上ないほどに安定し、成功した人生だった。

 だが、残念ながら――あるいは当然なのかもしれない――歪みを抱えずにはいられなかった。

 遺伝的に証明がされても、彼から見てクラウディアは母と呼ぶにはあまりに遠すぎた。メディアの女王は母親である時間など許されず、彼の周りにいたのは常に彼にへつらうものばかり。愛情のない生活の中で彼が醸成させたのは“母親”という存在への渇望と憎悪だった。その歪みは彼の精神を不安定にし、極端な渇きが求めた代償は裏切り続けた女性ではなく、優しかった家庭教師の“お兄さん”だった。
 むろんそんな歪んだ愛情は彼を満たすことなどない。
 どこまでも愛情を求め、求めるがゆえに誰かを傷つけ、それ以上に自らを傷つける。逃れられない連鎖はただひたすらに彼を貶めて行く。それを救い出せるものは、まだいない。

 現在彼は形式上ヘルメス・ネットワークから独立し、かつてクラウディアを作り上げた精鋭チームを率いてN◎VAにいる。フリーランスとしてヘルメス・ネットは元よりマリオ・ネットやCNNへも条件次第で情報を売り渡す。メディアの女王の息子としてではなく、あくまで彼自身として足掻くように自らの道を探し続けている。
 もっとも、この彼の立場に関して三大メディアの首脳陣の中で密約が交わされたとの噂は絶えない。

 ローレンス・マクベインは今も答えを、それを与えてくれる相手を探し続けている。

プレイヤーから一言

 私がF.E.A.R.に投稿して採用されたメディア企業ヘルメス・ネットワーク。その社長の息子として設定したのが彼、ローレンス・マクベインです。当初はもうちょっと普通の、悪く言えば個性のない設定だったのですが、中々出番がないうちにイメージばかりが先行して醸成された結果こうなってしまいました。
 『やおい』なんて言葉はだいぶ一般化してしまいましたが、そういうのとはまったく別に現実に様々な事情で真剣に同姓を愛さずにはいられない人はいます。そういう人たちにとって、それは真剣だからこそ痛みを伴い、悲しみ背負うことが多くなります。
 ある意味で肉体で繋がられるというのは、とても安易な表現手段でしょう。簡単にそうあることのできない人は愛情という価値をより繊細に作らなければならない。そういう意味では異性同士以上に純化された想いが必要なのだと考えています。
 ヤマアラシのジレンマ。まさにこれです。
 硝子の剣のように、どこまでも鋭く美しく、けれども触れれば粉々に砕け散るような存在。それが彼のコンセプトなのです。

 もっとも、(まだ使ってないのではっきりしませんが)実際にプレイする際はごく普通の情報収集特化型トーキーとして考えてもらえれば問題ないかと思います。
 さりとて、優秀なのは本人ではなく母親用意したチームマクベイン(トループ)なのですが(苦笑)。

*1:SSS3にに掲載